2020年06月04日

美味しいカクテルいただきます。

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S・モーム『サミング・ アップ』行方昭夫訳(岩波文庫)

「どの分野の芸術家でも、自分が仕事している芸術の伝統を受け入れねばならないが、その伝統なるものがその芸術を二流にしていることもある」


「実在の人はあまりに捉えがたく、あまりに漠然としていて、丸写しにするのは不可能である。あまりにも支離滅裂、矛盾だらけである。」(250ページ)


「デカルトを読むのは、底が透けて見えるくらい澄んだ湖で泳ぐのに似ていた。あの水晶のような水は驚くほどさわやかだった。スピノザをはじめて読んだときは、生涯で最も記念すべき経験だった。何だか高い山脈を目のしたときのような高揚した気分で満たされた。」(280ページ)


「自分はたくさん本を読み、たくさんの絵画を観たからというので、他の人より偉いと思っているのだ。現実から逃避するために芸術を盾にし、人間の生活に必要な活動を否定するために平凡なものには何であれ愚かしい軽蔑の目を向ける。」(348ページ) 


原作:“The Summing Up”1938

[訳者解説より抜粋。]

第1〜5章 序に当たる部分で、執筆の動機や姿勢、題名の説明。

第6〜7章 祖父のこと。両親の思い出。

第8〜10章 文章修業。スウィフト、ドライデン、アディソンの散文。

1114章 文章論。明快、簡潔、響きのよさを狙うべき。欽定訳聖書の文体による悪影響。

1517章 人生、人間観。本書の圧巻で、最もしばしば引用される部分。第1821章 独自の人間観の確立過程の説明として、小学校から中学校、特に医学校での体験談。

2223章 自己の長所と短所の分析。恋の至福を味わったことは一度もない、という告白。 

2427章 読書論。流行に釣られてペイター、メレディスを熟読したこと。

2829章 若い頃の旅行の経験。ドイツ、イタリア旅行。外国語学習論。

3042章 劇作の回想、演劇論。実験劇から大衆相手の芝居に転向した経緯。散文劇の限界、思想劇、役者、観客論。

4345章 『ランベスのライザ』執筆の思い出。

4650章 作家業の利点と難点、心構え。

5155章 『人間の絆』執筆の動機。秘密諜報員としての体験、肺結核の発病、治癒後の中国、南海諸島への旅行。

5662章 文学論。「雨」執筆の回想から、短篇小説論を展開。   文壇での自己の地位、実験小説批判。文学批評のあり方。

6377章 哲学談義。この部分はよく整理されているとは言いがたいが、独我論、観念論、神と悪の問題などのテーマが真剣に論じられている。 最後に真・美・善を一つずつ取り上げ、善のみ肯定。

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