2020年06月15日

『哲学詩集』トンマーゾ・カンパネッラ(水声社)

『哲学詩集』トンマーゾ・カンパネッラ(著/文)澤井繁男(翻訳) 発行:水声社


ユートピア論『太陽の都』の著者であり,預言者をも自認した自然哲学者・占星術師・カトリック僧が,体制転覆を計画して逮捕され,四半世紀に及んだ獄中生活において綴った詩片の集成。

ギリシア哲学への深い造詣とカトリック神学のルネサンス的融合,専制支配と腐敗した教会への怒りに満ちた告発,苦難の果てに生じた使命と信仰への疑心――異形の知識人の生と思想のすべてが結実した,驚嘆すべき人倫の詩集。



完全無比な生き物の棲む黄金の時代の前は混沌としていて,

さながら巨大な卵の体をなしていた。

卵のなかには霊魂を想わせる第一の存在の神が孵化しつつあり,

大いなる新たな形を顕わしていた。

神は必然,運命,調和に影響を与え,

和らげた力,愛,知の三つを,

多くの手足のなかへと融かし込み,

自然,内在する造化と種子を創り上げていった。

それゆえそれぞれの実体は実在するかぎり,知ること,愛することが可能なのである。

知を失くしたり愛を喪失したりすることはない。

死に及んでも蘇ってくるからである。

(詩28「真正なる哲学に則った愛のカンツォーネ」より)


【著者について】

トンマーゾ・カンパネッラ(Tommaso Campanella)  

1568年、南イタリアのカラブリアに生まれる。詩人、自然哲学者、自然魔術師、占星術師。詩作で頭角を現わし、14歳でドミニコ会士となるが、次第に異端思想に接近し、また、ガリレイの知遇を得て近代自然科学に触れる。預言者を自称して革命を計画するが、発覚して逮捕され、四半世紀におよぶ獄中生活のなかで著作の執筆を続ける。釈放後はフランスに亡命し、フランス宮廷に仕え、1639年、パリで客死。主な著作に、本書のほか、『太陽の都』(1602)、『事物の感覚と魔術について』(1620)などがある。

posted by pengiin at 14:00| 東京 ☁| Comment(0) | 図書と文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする